この映画はこんな人におすすめ
謎を解く映画ではなく、謎が謎を作り出す映画を求めているかたにおススメです。
『メメント』の作品情報(監督・キャスト・あらすじ)
日本の公開日 | 2001年11月3日 |
監督 | クリストファー・ノーラン |
脚本 | クリストファー・ノーラン |
キャスト | ガイ・ピアース キャリー=アン・モス ジョー・パントリアーノ マーク・ブーン・ジュニア ジョージャ・フォックス |
音楽 | デヴィット・ジュリアン |
あらすじ
主人公のレナード(ガイ・ピアース)は10分間しか記憶が持たない前向性健忘です。
ある日、妻を強姦、殺害され、犯人に襲われた時の怪我が原因でなってしまったのです。
彼は、復讐をするために犯人を捜し始めますが、あったことや起こったことをすぐに忘れてしまいます。
レナードはそのハンデを克服しようとメモを残し、身体にタトゥーを彫り、関わった人物の写真を撮ります。
しかし、関わった人間の言動がメモや入れ墨と違ったり、メモを書いた自分の記憶もあてになりません。
犯人を捜したいレナードですが、複雑になって行く状況にどんどん混乱していくのです。
「この映画のここが面白い!」(ネタバレなし)
「記憶は自分の確認のため」
この映画はインディペンデント(低予算)映画です。初めに公開された映画館は10館あまりでした。それが、口コミで徐々に広がり、最終的には500館近くの映画館で上映するまでになりました。
この作品が如何に世間に影響を与えたかがわかるエピソードです。
10分間しか記憶が持たない主人公が犯人を捜すという設定も面白いです。
映画の一番の特徴は、全てのシーンがジグソーパズルの1つのピースに過ぎないということです。「記憶は自分の確認のため」と劇中にレナードは言いますが、これは観客に行っている様にも聞こえます。
このピースを自分で当てはめていかなければ映画を理解するのは困難だからです。でも、そのピースを全てはめてパズルを完成させることが出来たなら、映画を存分に楽しめます。
そして、この映画は本当に難解な映画ですから、観た人と自分なりの解釈を話してみるのも楽しいです。
どこが一番難解かというと、物語が時系列に進んでいかないところです。
映画は時系列が逆になって進んで行きます。物語が進めば進むほど、過去に遡っていくのです。
ですから、観客にとっても「記憶は自分の確認のため」なのです。その緻密で計算された脚本が本当に良く出来ているなと感心します。
ネタバレ解説&考察
「変だな、まるで逆さまだ」
レナードが泊まるモーテルのフロント係の台詞です。
映画はかなり難解だったのではないでしょうか?それも、そのはず、映画の構造としてはフロント係の言う通り、逆さまに作られているからです。
ですが、この映画をラストから逆再生したら、物語の面白さが半減してしまいます。
この映画の最大の特徴と面白さは、沢山の見方で解釈が出来る、ということだからです。
そのままミステリーとして楽しむのもいいですし、ホラーとしても観ることが出来ます。思い切ってコメディとして捉えて観ると実に滑稽な喜劇になります。関わる人に騙されてはそれを忘れて行く。
自分を殺そうとした男を先回りして戦おうとするのに、それを忘れて呑気にシャワーを浴びる。
フロント係には自分が前向性健忘だということを毎回言いますし、これが喜劇なら面白いでしょう。色々な解釈や見方があるのでそんな見方も面白いかもしれません。
では、通常通りにミステリーとして観たらどうなのか?
まず、レナードの記憶障害が曖昧だというのが一番理解に頭を悩まされるところではないでしょうか?
冒頭で、テディがわざと違う車を乗るように勧めますが、レナードは自分の車をちゃんと覚えています。
そもそも、何故、メモや大切なことはタトゥーで彫ってあるということは覚えているのでしょうか?そして、何故、自分が記憶障害であることを知っているのでしょうか?
一般的にこの映画を解釈すると、20万ドルを持つ記憶障害のレナードを皆が騙しています。テディは刑事ですが、素性を隠して金を奪おうとしているとも見えます。
ナタリーは、レナードにテディを殺すように仕向けています。そして、犯人は実は既にレナード自身の手で殺されており、復讐は既に達成されています。
この映画は、色々な解釈が出来ると前述しましたが、ここでは私なりの解釈をしていきます。
この物語は全てレナードの妄想だった
そう解釈すると、レナードの曖昧な記憶も出来事も全て話が繋がります。
まず、記憶障害を持つサミーの話が出てきます。彼は妻にインシュリン注射を打つのが日課でしたが、記憶障害のため、注射を打ったことを忘れてしまいます。
その結果、15分置きに妻に注射をして妻を殺してしましました。
サミーの話はレナード自身の話です。
レナードの妻は強姦されて殺されたのではなくて、彼が何度も注射をして殺してしまったのです。レナードはその事実をすり替えているのです。
サミーは自分の妻が殺されたことも知らずに精神病院にいるとレナードは言います。
これも自分のことを話しています。
自分が心の中(精神病院)に閉じ込められていることを言っているわけです。
レナードが自分の身体にタトゥーを入れているのは、自分に罪と罰を与えているのです。妻を殺してしまったのに、自分が生きているという罪と罰です。
テディはレナード本人だと私は解釈します。
『メメント』のラスト 結末の意味
レナードは精神に障害を持っています。本当は、自分が妻を殺したことを知っているのです。テディはその事実を知っているレナード本人の人格です。
ですから、ラストシーンでテディは彼の嘘を信用するなとポラロイド写真に書くわけです。
レナードは、自分が妻を殺した犯人だとは認めたくなくて、テディを殺すのです。そして、本当の事実を知る人格を消して、レナードは見えない犯人をずっと捜し続けるのです。
「メメント」という意味は「思い出せ」という意味と、「記念品」「思い出」という意味があります。
「思い出せ」というのは物語の表面上のことです。
レナードがいつまでも犯人を捜すのが、妻との「思い出」を失わないというメタファーだと解釈出来ます。レナードは妻との「思い出」を失わないために犯人を捜し続けるのです。
【映画の豆知識】
映画の豆知識について
インディペンデント・スプリット賞にて作品賞、監督賞を受賞しています。
アカデミー賞では脚本賞、編集賞、ゴールデングローブ賞にも脚本賞にノミネートされました。
元となった作品は、クリストファー・ノーラン監督の弟、ジョナサン・ノーランが書いた短編小説『Memento Mori』(メメント・モリ)。
あのシーンの意味
レナードが電話で話している相手が誰なのかが一番、理解に苦しむのではないでしょうか?
テディでしょうか?ナタリーでしょうか?
私は、レナード本人だと思います。つまり、自分で自分に話しているのです。
レナードの妄想の世界。そう解釈すると全て辻褄が合うのです。
当映画が好きな方へのおススメ
「ミスト」 フランク・ダラボン監督
「セブン」 デヴィッド・フィンチャー監督
「ファイトクラブ」 デヴィッド・フィンチャー監督
映画『メメント』の動画を無料視聴できるサイト
動画配信サイト | メメント | 無料期間 |
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※配信情報は2020年2月時点のものです。現在の配信状況は各公式サイトをご確認ください。○=見放題視聴 △=課金視聴 ×=なし