この映画はこんな人におすすめ
典型的な「映画」というものに囚われず、自由な表現の「映画」が観てみたい人。
「ジャンル」にもこだわらず、実験的な映画を求めている人。
長編映画を観るのが苦でない人。
『ドッグヴィル』の作品情報(監督・キャスト・あらすじ)
日本の公開日 | 2004年2月21日(土) |
監督 | ラース・フォン・トリアー |
脚本 | ラース・フォン・トリアー |
キャスト | ニコール・キッドマン ポール・ベタニー クロエ・セヴィニー ローレン・バコール ステラン・スカルスガルド ジェームズ・カーン パトリシア・クラークソン ジェレミー・デイヴィス ベン・ギャザラ ウド・キア ジャン=マルク・バール フィリップ・ベイカー・ホール ジョン・ハート |
音楽 | ペール・ストレイト |
あらすじ
アメリカ、ロッキー山脈にある小さな町「ドッグヴィル」。貧しくひっそりとたたずむこの町では、医者の息子で小説家のトムが人々のリーダーになろうと暮らしていた。
ある日の夜、町に逃亡者がやってくる。
彼女の名前はグレース。
ギャングから追われているらしい。
とても優しいトムは、自分を律するようなグレースを見て、彼女をかくまうことにする。
そして翌日集会を開き、町の人々に彼女を紹介するが…。
閉鎖的な町にやってきた異質者。
そしてそれを排除しようとも、受け入れようともする町。
町の人々は彼女をどうするか。
「この映画のここが面白い!」(ネタバレなし)
この映画はデンマークの奇才、ラース・フォン・トリアーの映画です。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」で世界的に有名になった監督が次に撮った映画がこの「ドッグヴィル」です。
監督はドグマ95という映画理論を提唱したことでも有名ですが、この作品はその映画定義から派生した作品だといえます。
ドグマ95とは、映画の本質を追及した作品を作ることを目的としたもので、たとえばドグマ95に基づく映画は、リアルな物語を表現したものでなくてはいけなかったり、撮影はすべて自然なものでなければいけないため、作られた場所(セット)での撮影の禁止したり、作られた小道具を使った撮影を行わないなどいくつかの厳しいルールがあります。
観た方も多いかと思いますが、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」ではこのドグマ95の理念の一つを用いて作り始められた映画です。(ドグマ95の映画に則った映画という意味ではありません)
ミニマリズム
一方で、「ドッグヴィル」は、また別の観点からドグマ95の理念を用いて作られた映画だといえます。
それはミニマリズムです。
「ドッグヴィル」の映画は広い体育館のような場所に白いチョークで線を引き、最小限の小道具を用いて役者が演じる、そして物語が生まれる、それだけの映画なのです。
ミニマリズムとは、最小限のもので表現する芸術の一つの考え方ですが、ラース・フォン・トリアーは、最小限のものを使って映画を作りました。
最小限のものから生まれる物語というのは、映画の本質、そして物語、ついては人間や社会の本質を表したものになります。
この映画は、映画とはどういうものなのか、この物語は何を表していて、自分はどういう感情をこの映画から受け取るのか、など思考する映画の観客に向けられた作品です。
この映画を観て、いろいろなことを感じてほしいです。
特別実験的で制作前から話題になっていた本作。
ドッグヴィルの町へとやってくる逃亡者の美しい女は、世界的に人気なニコール・キッドマンが演じています。
美しい彼女が物語の主人公として、そして最小限の映画設定の中で役者としても追い詰められていく姿を見ることができる映画です。
ネタバレ解説&考察
映画設定は簡略化された社会の縮図
映画を観ると、人間の欲やエゴを物語から見ることができ、そして映画の中の町は、小さいながらも広く一般的な社会の姿を表しています。
映画はこの物語世界を俯瞰しながらはじまり、中へと入って、最後にはまた俯瞰し終わっていきます。
3時間ほどある長い物語を観た後、皆さんはどう感じたでしょうか?
映画の中の人々は、線だけが境界線として引かれた中で、動き、生きています。
誰が何をしているのか、普段は見えない家の中を常に見ることができるのです。
謎の女
閉鎖的であっても平凡に正しく生きようとしている人々の町にやってきた異世界に生きる女、グレース。
彼女は町で受難を受け、最後にはまるで神の裁きのように決断を下します。
映画を宗教から読み取るか、それとも人間の奥深い心理から読み取るかは観客次第です。
ですがどちらからもこの映画を考察することで、映画とは、そして人間とは何かが分かるのではないでしょうか。
映画は暗い雰囲気で満たされていますが、グレースが町から逃げようとリンゴの貨物に身を隠し、トラックに乗って町を出るが、うまくはいかず、レイプされてしまうシーンは、アートのように表現されています。
このシーンを境に、町の人々はグレースに対して常軌を逸していき、グレースの心も最後の審判へと進んでいきます。
グレースはギャングの父から逃げ、良心を持ちつつも、町の人々からの仕打ち、そして裏切られたことにより、町全部を消し去ることを選択します。
『ドッグヴィル』のラスト 結末の意味
映画のラスト、それまで映画の中では見えなかったドッグヴィルの犬は怒り、姿を現します。
グレースは犬を殺すことをやめ、父と共に去っていきます。
犬は失われた町へと残り続けます。
この犬はすべてを見、聞き、そして怒りを持って生き続けるのでしょう。
【映画の豆知識】
映画の豆知識について
2003年カンヌ国際映画祭コンペティションにおいて、トリアー監督作6本目のノミネートを果たした。
当映画が好きな人へのおすすめ
思考力をフル活動させる映画であり実験的な作品となったものを紹介します。
「インランド・エンパイア」 監督:デヴィッド・リンチ
「田園に死す」 監督:寺山修司
「白いリボン」 監督:ミヒャエル・ハネケ」
この記事のライター・Uzura
映画『ドッグヴィル』の動画を無料視聴できるサイト
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※配信情報は2020年4月時点のものです。現在の配信状況は各公式サイトをご確認ください。○=見放題視聴 △=課金視聴 ×=なし