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サスペンス/スリラー

映画『ゴーン・ガール』のあらすじとネタバレ考察【動画フル無料視聴】

この映画はこんな人におすすめ

鋭利なサスペンスが大好き!

生ぬるい恋愛映画にうんざりしてきた方

結婚生活に疲れを感じている方

 

『ゴーン・ガール』の作品情報(監督・キャスト・あらすじ)

映画のキャスト

日本の公開日2014年12月12日
監督デヴィッド・フィンチャー
脚本ギリアン・フリン
キャストベン・アフレック
ロザムンド・パイク
ニール・パトリック・ハリス
キャリー・クーン
エミリー・ラタコウスキー
原作ギリアン・フリン
音楽トレント・レズナー
アッティカス・ロス

 

あらすじ

ストーリー

 

静かな田舎町の朝、主人公ニック・ダン(ベン・アフレック)が自宅の前に佇んでいます。

その後ニックは、双子の妹マーゴ・ダン(キャリー・クーン)と共同で経営しているバーを訪れます。

ニックと妻のエイミーは今日が結婚5周年の記念日です。

ニックが家に帰ると、家の中にはあらそった形跡があり、エイミー(ロザムンド・パイク)の姿が消えていました。

ニックとエイミーは毎年の結婚記念日の恒例行事として、ヒントを順番に探し出していく宝探しゲームをしています。

行方不明になってしまったエイミーは、今日の記念日のために事前にヒントを準備してくれていました。

ニックはエイミーの行方の手がかりを求めて、エイミーの残したヒントを探し始めます。

しかし警察はニックがエイミーを殺したのではないかと疑い始め…

 

「この映画のここが面白い!」(ネタバレなし)

ユニークポイント

 

 

カップルで観たら別れる?!

近年では流行りの宣伝文句になった、「デートで観たら別れてしまう映画」と言われてしまう映画作品たちがありますよね。
その先駆けが「ゴーンガール」なんです。

でも見るなと言われると見たくなるのが心理ですよね。

ベン・アフレックを存分に利用した演出

ベン・アフレックの割れたあごがニックの役柄にピッタリなんです。

エイミーはニックのことを「悪者っぽい(villainous)あごをしてる」とからかいます。

ニックがあごの割れたあたりを自分の指で隠したら、「今言ってることに嘘はないよ」という意味になるのです。
そんな夫婦2人だけの決まり事が劇中で重要なモチーフになります。

フィンチャー監督の恋愛描写が観れる

デヴィッド・フィンチャー監督の監督作は「ゴーン・ガール」以前に9作品あります。

でもロマンチックな恋愛描写が観れるのは「ゴーン・ガール」と「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」だけなのです。

エイミーがニックと出会うシーンは、甘ったるい素敵な恋の始まりのシーンとして憎らしいほどの完成度です。
硬派さが売りの監督が撮る、貴重なロマンスシーンが観たい方はぜひ必見です。

超有名モデルが出演

大ヒット曲「Blurred Lines」のミュージックビデオで一躍時の人となった、モデルで、女優でもあるエミリー・ラタコウスキーが出演しています。

登場シーンは少ないですが、とても重要な役柄を魅力的に演じています。気になる方はぜひご覧ください。

冷たい映像表現

デヴィッド・フィンチャー監督といえば独特のCGセンスで有名です。

「ゴーン・ガール」は、ほとんどが一見何の変哲もない日常シーンのサスペンスドラマです。

なので観ていてもどこにCGを使っているか分からないはずです。ところが窓ガラスの外に見える屋外は全部CGで書き足されていたり…

複数のシーンで、彼の十八番である、暗く緑がかったクールすぎる映像が観られるのでぜひ堪能してください。

オープニングの20世紀FOXのロゴからしてすでに暗いです。

 

 

ネタバレ解説&考察

映画の解説

 

タイトル「Gone Girl」の意味は

「Gone」の意味は、「どこかに行ってしまった」です。

このタイトルはまず第一に、姿を消したエイミーのことを指しています。

また、失踪中のエイミーはこう言います。

「ニックが愛したのは私の演じた女。『いい女(Cool Girl)』ってやつ。

『いい女』は決して男に怒ったりしない。ただ残念そうにかわいらしく微笑むの」

つまり、消えてしまったのはエイミーが演じてきた『いい女』というふうにも解釈できます。

もちろん「Gone」は「死んだ」という意味にもとれます。

タイムラインごとに詳しく解説

「ゴーン・ガール」は大きく4パートに分けることができます。

特に、パートが切り替わるシーンはひときわ観客の目を引くシーンとなっています。

パート1 開始~1:06 時系列解説

パート1は、リアルタイムの失踪事件のシーン(◆)と、エイミーが失踪前にでっちあげた日記を映像化した虚構混じりの思い出のシーン(◇)の交互になっています。

時系列を操作した恋愛映画といえば、「500日のサマー」や「ブルーバレンタイン」などが有名です。

「ゴーン・ガール」では日記というモチーフを使って、入り混じったタイムラインを自然な流れで表現しています。

日付として、2012年7月5日~7月8日の4日間にあたります。

出来事の詳細を表示

7月5日 THE MORNING OF 〈その朝〉
◆結婚5周年記念日の朝、ニックはザ・バーを訪れます。
◇2005年1月8日、2人の出会いはニューヨークの洒落たホームパーティでした。
◆ニックが家に帰るとエイミーが姿を消しています。

◇2007年2月24日、ニックは恋人のエイミーにプロポーズします。
◆ニックは警察署で聴取を受けます。
◇2009年7月5日、結婚2周年記念日、ニックとエイミーが宝探しゲームをします。
◆警察の家宅捜索でエイミーの残したヒント1が発見されます。

7月6日 ONE DAY GONE 〈1日後〉
◆エイミーの両親とニックは記者会見を開きます。
 ニックは警察に隠れてこっそり宝探しゲームを続けますが、自分の父親の家にいるところを警察に見つかります。
◇2010年7月18日、不景気のせいでニックもエイミーも失業しそうになり夫婦関係がぎくしゃくしています。
 後日、ニックは失業し、さらにミズーリ州にいるニックの母親が倒れたと連絡が来ます。

7月7日 TWO DAYS GONE 〈2日後〉
◆捜索隊が出され、町中総出でエイミーを探します。デジーが捜査本部に来ています。
◇2010年9月23日、夫婦はミズーリに引っ越します。
◆ニックはマーゴの家で不倫相手のアンディと寝てしまいます。
◇2011年10月2日、ニックの母親の葬儀が行われています。
 エイミーはニックのためにバーを購入しています。
 エイミーはミズーリでの孤独な暮らしに意味を見いだすため、子供を作りたいと言いますが、ニックが嫌がります。
 エイミーはニックに突き飛ばされます。
◆モール跡の廃墟にいる売人が、「バレンタインデーにエイミーが銃を買いにきた」と証言します。
 しかし彼は銃の売買は扱っていませんでした。
◇2012年2月14日、ニックへの恐怖心のせいで、エイミーは銃を買おうと思い至ります。

7月8日 THREE DAYS GONE 〈3日後〉
◆警察の捜査で、キッチンにはかなりの大量出血の痕跡があったと判明します。
凶器はゴルフクラブか、2x4(ツーバイフォー、太さが2インチ×4インチ(38mm×89mm)の木材)と推定されました。
祈りの夜(vigil)の集会が行われます。エイミーの友人ノエル・ホーソーンが、群衆に向かってエイミーが妊娠していたと暴露します。
警察は、犯行現場の不自然さ、ニックの浪費の証拠、エイミーの生命保険の増額からニックを糾弾します。
また、医療記録からエイミーが妊娠していたことが確定します。

パート1の終わり

ニックの父親の家の家宅捜索と、エイミーの日記の再現シーン、宝探しゲームを解くのに必死なニックのシーンが錯綜する、緊迫したシークエンスになっています。

警察はついに、ふちから少しだけ焼かれたエイミーの日記を発見します。

エイミーは失踪前の日記にこう書きます。「私の理想の男性…この人は、私を殺すかもしれない」

ニックは、マーゴの家の薪小屋に、大量の高額なおもちゃや大型テレビが保管されているのを発見します。

パート1 開始~1:06 ポイントその① シューガー・ストーム

エイミーは「最低でも300日分」の日記を偽装しています。

過剰にロマンチックな2人の出会いは、エイミーが脚色した日記の映像化だったからというのが理由の1つです。

のちに、「出会いはまるでおとぎ話。それは真実だし、そうするのが大事」とエイミーは説明しています。

 

パーティーから連れ出したエイミーを、ニックが連れて行った先は、パン屋でした。

パン屋の倉庫から舞い散った粉砂糖が路地裏を覆い、電灯に照らされている非常に美しいシーンとなっています。ニックは「今すぐキスしないと。するまで砂糖の嵐(sugar storm)は抜けられない」と言って、砂糖のついたエイミーの唇を指で払ってからキスします。

また、エイミーへのプロポーズのシーンも腹立たしいほどドラマチックに演出されています。ニックは手帳のページに指輪をはさみ、記者たちから取材を受けている最中のエイミーにサプライズで渡します。

 

ここまでの日記の内容は脚色はあるものの事実です。

エイミーが創作した部分は、DV、恐怖心、妊娠、殺人に関する記載でした。

映画の後半で、事情聴取を受けるニックが、記載が事実かどうかを確認される場面があり、ニックは以下のように返答します。

唇の砂糖をぬぐった「本当」
キヌアを魚だと思った「本当」
妊娠を望んだ彼女に暴力をふるった「絶対ない。手をあげたことはない」
銃を買おうとしてた「ないと思うけど。わからない」
殺されるかも「分かりやすい但し書きだな」

エイミーの独白とニックの証言を合わせると、恋人同士だった頃の日記はおおむね本当のことと言えるでしょう。

パート1 開始~1:06 ポイントその② アメイジング・エイミー

エイミーの病的な性格は、両親の影響も大きいです。

エイミーの両親は、娘ができない習い事やスポーツをことごとく完璧にこなす少女「アメイジング・エイミー」が主人公の童話を出版し売れっ子になった作家です。

エイミーは、自分より先にお話の中で結婚するアメイジング・エイミーのウェディングパーティへの出席、という窮地をニックのプロポーズに救われます。

エイミーの両親の行為は精神的虐待に近く、両親もまた病的な素質を持っている可能性もあるでしょう。

エイミー捜索のための記者会見で、ウェブサイト「FindAmazingAmy.com」を告知するドラマチックな振る舞いは、エイミーと同類のものです。

パート1 開始~1:06 ポイントその③ 本当のエイミー

ニューヨークで裕福に生まれ育ったエイミーは、ハーバード大学に通い、心理学の学位を持っています。

エイミーはニックと同じくライターで、心理テストの作成を主な仕事にしています。

親譲りの性質か、「アメイジング・エイミー」から受ける精神的ストレスか、はたまた本来の自分の素質のせいか、エイミーの自己愛と執着心はかなりのものです。

両親とは表面的には上手くいっており、夫であるニックに黙って両親に自分の信託財産を渡したりもします。

のちにニックは勝手にミズーリへの引っ越しを決めます。ミズーリに引っ越すことについてのエイミーの表現はとても秀逸です。

「これって奇妙なくだりよね、私はミズーリ人よ、って」
(So here’s a strange new sentence: I am a Missourian.)

パート1 開始~1:06 ポイントその④ アンディ・フィッツジェラルド

ニックが何度か、こっそり誰かと携帯で連絡を取ろうとしているシーンがあります。その相手は、不倫相手のアンディでした。

アンディは、ニックが講師をしている地元の短期大学の教え子です。関係は1年と少しの間続いており、2人は普段から安いプリペイド携帯を使って連絡を取っていました。

ニックが祈りの夜の集会の舞台上で「エイミーを愛している」と発言したことで、会場に来ていたアンディは静かに落胆します。またその夜、エイミーが妊娠していると聞いたアンディは、以降ニックとの連絡を絶ちます。

ニックとアンディの交際について
・2010年9月、ニックが夫婦でミズーリに引っ越してきます。
・少なくとも2011年7月より以前頃、アンディとの関係が始まります。
・2011年10月の日記《母親の死去、DV》のシーンで、ニックはすでにアンディと不倫しています。

パート1 開始~1:06 ポイントその⑤ ニックの両親

ニックの両親は、父親の素行が悪いせいで離婚済みです。

ニックの母親の乳癌治療に付き添うために、ニックとエイミーはミズーリに越してきましたが、その後母親は死去します。

パート1 開始~1:06 ポイントその⑥ 記念日の贈り物

アメリカでは結婚当初から、結婚年数ごとの決まった贈り物(Traditional wedding anniversary gifts)をする習慣があるようです。エイミーは、その風習にさらに宝探しゲームの要素を加え、よりドラマチックに、幸せな夫婦を演出することに執心しています。

1周年ニックからエイミーには凧を、エイミーからニックにはノートでした。
2周年綿2人とも偶然高級シーツを選びます。
3周年(言及されていません。)
4周年ニックは宝探しゲームのヒントを解けず、エイミーはニックに枯れたバラを見せました。
5周年エイミーはニックにパンチとジュディの人形を送ります。

パート1 開始~1:06 ポイントその⑦ バレンタインデーの日記

「(実家に帰るなら)真実を言わねばならない、でも何が真実か分からなくなっている」と自作自演の日記に書くエイミー、かなり皮肉屋なユーモアセンスです。

 

パート2の開始

「死んでしまったから今は幸せ」
そう言うエイミーのセリフとともに、緊迫したシーンから、突如として眩しい風景に切り替わります。

陽光の中、爽やかに車でハイウェイを飛ばすエイミーが登場します。

パート2 1:06~1:59 ポイントその⓪ エイミーの策略

ここでエイミーが自分の行動を解説するシーンが入ります。

ミズーリに越してきて~5周年記念日まで
・夫からのDVについての愚痴を、近所の主婦ノエル・ホーソーンに聞かせます。
・カードを使いこんで借金問題を作り上げます。
・生命保険を増額させました。(4月)
・現金で逃亡用の中古車を購入しました。
・エイミーは、トイレから妊娠中のノエルの尿を採取し、彼女の尿を使って妊娠していたという医療記録を残しました。
・日記を用意し、警察が読める程度に日記を少しだけ焼きます。
・宝探しゲームのゴールとして、買い込んだ贅沢品を薪小屋に保管します。
(言及すると作品後半のネタバレになるため台詞にはありませんが、エイミーはミズーリに来てすぐに夫婦で不妊治療をしようと言いだしてニックをクリニックに連れていき精子をクリニックに保管させています。)

5周年記念日当日
ニックが川岸へ出掛けたあと、エイミーは犯行現場の偽装を開始します。
自分の腕の血管から採血し、血液をキッチンに塗り広げ、ニックが拭き取ったと見せかけるために雑に拭きます。
また、犯行の凶器と思わせるための人形のパーツを、血液に浸してから暖炉で焼き、「7月なのに暖炉?」と不審点を作ります。

パート2 1:06~1:59 時系列解説

パート2では、エイミーの逃亡生活が描写され、ニックの逮捕で幕を閉じます。

パート1の開始と同じ結婚記念日の朝からスタートし、今度はエイミーの視点から進んでいきます。

エイミーのパートと、ニック&マーゴたちの時系列が途中から重なり合います。

エイミーのパートは、2012年7月5日~7月13日の9日間にあたります。

出来事の詳細を表示

7月5日 THE MORNING OF 〈その朝〉
エイミーは、滞在予定地であるオザーク(ミズーリ州の南方)に向けて移動します。
素のエイミーの皮肉はかなりキレッキレです。
「アメリカ人は妊婦が大好き。足を開くのが偉いとでも言うように」

7月5日 TWO HOURS GONE 〈2時間後〉
エイミーはガソリンスタンドのトイレで髪を切り、ヘアカラーでブラウンに染めます。

7月5日 TEN HOURS GONE 〈10時間後〉
エイミーは、オザークにあるコテージに到着します。
DV被害を偽装するために左頬を金槌で強打します。


《ここからはニックとマーゴのパート》
(日付のテロップは出ませんが7月8日の続きです)
ニックとマーゴが薪小屋に置かれていたプレゼントを開けると、パンチとジュディの人形が入っています。
その人形に添えてエイミーが残してあった手紙には、「川上へ行こう(follow the river, up up up)」という一節がありました。
「Up the river」は「刑務所送り」という意味です。
ニックとマーゴは、ミズーリに死刑制度があることを思い出し、エイミーがニックを殺そうとしていることに気づきます。


7月6日 ONE DAY GONE 〈1日後〉
エイミーは、コテージの隣人女性グレタと知り合います。

7月7日 TWO DAYS GONE 〈2日後〉
公共施設のパソコンを使って、ニックが映っているテレビ番組の映像をチェックします。
自分の捜索のキャンペーンが盛大に進んでいることに満足します。

7月8日 THREE DAYS GONE 〈3日後〉
エイミーはグレタに不倫を発見した時のことを話します。
「彼と出会った夜を思い出した。粉砂糖を運び入れてるベーカリーの前を通ったの。
そこら中に粉砂糖が舞ってた。粉砂糖の嵐。彼はキスする前に、私の唇を、指でぬぐった。
で、バーの前で、その子に全く同じことをした」
グレタは、「それいままで聞いたなかで一番のクズ」と答えます。


《ここから両者のタイムラインが重なります》

7月9日 FOUR DAYS GONE 〈4日後〉
ニックは、ニューヨークの敏腕弁護士タナ―・ボルトのもとを訪れます。
その後、エイミーの元交際相手であるトミー・オハラに会いに行き、レイプ被害偽装の話を聞きます。
エイミーは、グレタのコテージで、エレン・アボットの番組を見ています。
番組では、エイミーが妊婦であったことと、ニックとマーゴの兄妹の異常な親密さが報道され、「ミズーリ州には死刑制度がある」と強調されます。
グレタの部屋を出たエイミーは、策略が上手く運んでいることを飛び上がって喜び、匿名で通報してマーゴの薪小屋を警察に調べさせようとします。
ニューヨークからの帰り、ニックはセントルイスに立ち寄り、もう1人のエイミーの元交際相手、デジー・コリングスの邸宅を訪ねますが、ほとんど門前払いされます。

7月10日 FIVE DAYS GONE 〈5日後〉
弁護士のタナ―がニューヨークからミズーリにやってきます。
夜、エイミーは隣人のグレタとその連れの男性ジェフと3人でミニゴルフをしています。
ショットが決まって喜んだエイミーは飛び上がり、その拍子に体にくくりつけていた札束を入れた袋を地面に落とし、それを2人に見られてしまいます。

7月11日 SIX DAYS GONE 〈6日後〉
タナ―はニックの自宅を訪れ、今後の戦略を提案します。
タナ―は、アンディより先に、ニックの口から不倫の事実を公表させるために、ニックを全国放送のシャロン・シーバーのテレビ番組に出演させることにします。
エイミーは、大金を所持していることがバレてしまったため、コテージから逃げる準備をしていたところを、結局グレタとジェフにお金を奪われてしまいます。
エイミーは車でコテージから逃げ、公衆電話を使い狼狽しながら電話を掛けます。相手は元交際相手のデジーでした。

7月12日 SEVEN DAYS GONE 〈7日後〉
この日、ニックはシャロン・シーバーのインタビューを受ける予定で、トークの練習をしています。
しかし先に、アンディが不倫の事実を公表する会見が、テレビで放送されてしまいます。
その後、ニックはタナ―とマーゴの制止を振り切ってインタビューの収録を決行、結果は上々でした。
エイミーは、リバーボートカジノ(船上カジノ)でデジーと再会します。
デジーはエイミーを湖畔の別荘に連れていきます。
デジーは、別荘のどこもかしこも防犯カメラで監視していることをエイミーに伝え、微笑みながら「もう君を離さないよ」と言ってエイミーの頬にキスします。

7月13日 EIGHT DAYS GONE 〈8日後〉
デジーはエイミーの見た目を昔のような綺麗な姿に戻そうと、服やヘアカラー、化粧品を買いそろえて朝から別荘にやってきます。
シャロン・シーバーの番組が放送される夜、ニックとマーゴ、エイミーとデジーはそれぞれ放送を見ています。
番組でのニックの態度は素晴らしく、大衆はニックを支持し始めます。
しかしそれと同じ頃、警察が薪小屋の捜査に訪れ、エイミーの狙い通り大量の購入品が発見されます。
警察署で聴取を受けるニックは、証拠品として見せられて、初めてエイミーの日記の存在を知ります。
また、警察は、失踪当日の家宅捜索で、エイミーが自作自演で暖炉で燃やしていた人形のパーツを押収していたことが判明します。
鑑定結果で血痕が残っていたため凶器と断定、そのパーツはちょうど当初から推定されていたゴルフクラブなどと同じサイズで辻褄が合います。
エイミーの思惑通り(偽の)凶器が見つかったため、ニックは殺害容疑で逮捕されます。

パート2 1:06~1:59 ポイントその① エイミーの気持ちの変遷

付き合い始めてから結婚してしばらくの間まで、エイミーはニックに満足していました。ニックが、自分の新しい良い面を引き出してくれていると感じていました。

一方、エイミーはニックを支配・教育し、自分の理想の男に作り上げようとし、それも成功していました。エイミーは相手にとっての理想を演じる代わりに、交際相手を支配し、相手に依存していくタイプです。

当時のことを「お互い別人を演じていたころは幸せだった」とエイミーは語ります。

エイミーは、ニックも理想の人物像を演じてしまうタイプであると気づいています。

ニックは失業し、母親の病気を引き合いに出してエイミーを田舎町に連れ去り、不倫を始めます。ニックはエイミーの理想から堕落していきました。

ニックのせいで田舎に閉じ込められ、ニックにも自分の存在を無視されているように感じます。エイミーは、かつての自分が軽蔑していた、夫の外出をとがめるような、猿回しのトレーナーのような妻になっていました。

エイミーは過去の交際相手にもやったような、かつレベルアップした復讐のための根回しを開始します。

「私を踏みにじってその子と幸せになるつもり?冗談じゃない」

「ニックは私の自尊心を失わせた。それは殺人と同じ。だから彼にも罰を与える。」

エイミーの言う罰とは、ニックが殺人犯として逮捕され死刑判決を受けて殺されることです。

また、ニックが離婚を切り出してこないのは、エイミーのほうがお金を持っていて、バーのオーナーもエイミーだから、と考えています。

パート2 1:06~1:59 ポイントその② ニックの気持ちの変遷

ニックもまた、交際・結婚当初は理想のパートナーを演じていました。しかし失業や、夫婦関係の不和、環境の変化によりエイミーのために演じることへの気力を失います。

ニックは5周年記念日の朝、離婚を切り出すつもりでした。しかしエイミーに言われるがままに家をあけ、失踪計画が上手く行くよう無意識に従わされています。

警察や大衆からの好感度の低さを払しょくするための大事なインタビューの練習中、ニックの中の、理想を演じることへの気力が再度覚醒します。
「僕は妻を裏切って、結婚を軽んじてしまった。一生の後悔です」と、真摯な態度を作り上げました。

 

パート2 1:06~1:59 ポイントその③ 奇妙な板挟み

ニックは、エイミーを避けていてマーゴと親密なように見えますが、実際にはマーゴに対しても取り繕って接しています。

ニックは「エイミーが欲しがらないせいで子供を作れない」という事実をマーゴに隠しています。

そのことはエイミーに口止めされていたことに加え、エイミーのせいと知るとマーゴがさらにエイミーを嫌うからです。

つまりニックはマーゴがエイミーを嫌うことも不快に感じており、ニックはある面でエイミーとマーゴの間で板挟みになっています。事実、マーゴはエイミーを好いていません。

失踪したエイミーについての兄妹の会話は、以下のようなものでした。
「いかにもエイミーの身に起きそうな事じゃない?彼女引き寄せるもんね」「ドラマを… 俺にはそう言ってくれて構わないよ」
ニックがエイミーの性質にうんざりし、マーゴに同調しているようなシーンですが、実際には、マーゴの気に入る発言をしようとしているともとれます。

映画の始まりでも、ニックはザ・バーでマーゴにエイミーの愚痴を聞かせています。

エイミーが誕生日にプレゼントしてくれた腕時計のことも、マーゴにはあえて「気に入ってない」という文句を聞かせています。

エイミーに向けた演技の努力を再開したニックは、「俺は好きだよ。時計も、このネクタイも。これをくれた愛しい妻と同じように」と言います。

パート2 1:06~1:59 ポイントその④ エイミーの計画

エイミーは、失踪後、自分が偽装した殺人事件の騒ぎをしばらく観察し、それから川に身投げするという計画を立てていました。

発見された自分の死体が証拠となり、ニックが死刑になる、という計画です。

しかしカレンダーに貼った予定のポストイットはすべて「KILL SELF ?」と疑問符がついていて本当に死ぬのか決め切れていないようです。

カレンダーの映るシーンから、エイミーが自殺しようとしている候補日は、2012年9月5日~12月5日の間の毎月の5日です。
エイミーは記念日にこだわっているため、毎月5日に設定しています。

7月9日(失踪4日後)に、エイミーが1番直近の自殺予定日候補、9月5日のポストイットを剥がすシーンがあります。

7月10日(失踪5日後)には、「私は死のうとした、馬鹿よね。メキシコ湾に沈む計画を立ててた」「死ぬことないわね。私は悪くないのに」と発言します。

翌日、エイミーは所持金を奪われたため、自殺するプランも、自殺しないプランが練られていたとしても、計画はいったん破綻します。

エイミーは困ったときに頼るために手紙のやりとりを続けていた元交際相手デジーを利用し、彼の別荘に隠れます。

しかしデジーはエイミーが想定していたよりもエイミーを監視し、支配下に置こうとします。

憔悴しデジーに負けそうになっていたエイミーですが、なんとか気力を取り戻します。

7月13日(失踪8日後)には、防犯カメラの撮影範囲をチェックするなどさっそく計画を立て始めています。

パート2 1:06~1:59 ポイントその⑤ 猿回しの猿

おそらくエイミーは、自分が交際相手に行っている教育や支配は、目先の利益のために夫をあしらうほかの妻たちの「しつけ」よりも崇高な行為だと感じているのでしょう。

なので、エイミーは自分が交際相手をコントロールすることは良しとしていますが、他人の夫婦関係については「猿回しの猿」と言って馬鹿にします。そして、「自分はニックを猿回しの猿にはしたりしない」と言います。

しかしニックを救うため、弁護士タナーはインタビューで猿回しの猿になれと言うのです。(「猿回しの猿なら死刑にならない」)

パート2 1:06~1:59 ポイントその⑥ パンチとジュディ人形

あの人形は、人形劇「パンチとジュディ」の人形です。
イギリスのブラックユーモアな喜劇で、ストーリーに、夫ミスター・パンチが子供を殺し、妻ジュディをこん棒で撲殺するという箇所があります。

エイミーはヒント3で「5周年のプレゼント《木(wood)》にピッタリの場所」と書き、薪小屋(Woodshed)を連想させ、さらに木製の人形を置くことで二重に演出しています。

パート2 1:06~1:59 ポイントその⑦ 宝探しゲーム

ヒント1ヒント2ヒント3
自宅の下着の引き出しニックの教員用個室ニックの父親の家マーゴの家の薪小屋
赤い下着焼かれた日記木の人形と最後の手紙

赤い下着は誰のもの?
警察に赤い下着のことを聞かれ、「ヒント1に書いてあるでしょ?」とニックはごまかします。

しかしこの時点でニックは、下着がアンディのものかエイミーが置いたものか分からず困っています。

下着は押収され、鑑定されたはずなので、アンディのものではなくエイミーが置いたものと考えるのが妥当です。中盤でニックたちもエイミーのものと結論付けています。

茶色い家
ヒント2の「茶色い家」について、当初ニックはボニー刑事に何のことか「思いつかない」と言います。

ヒント2には「スパイ」というキーワードがはいっているので、ニックは「茶色い家」が父親の家のことだとどこかのタイミングで気づきます。ニックは離婚して出て行った父親のことをミスターブラウンというスパイだと空想していました。

その後こっそり次のヒントを探しに父親の家にやってきたニックは、警察に見つかります。

それでもまだニックは、「家は青色だ」とごまかしています。

ヒントが示す場所は…
のちにニックは、「今年の宝探しゲームのヒントの場所が自宅以外すべてニックの浮気現場だった」と話します。

ニックはそれも途中からうすうす気づいていたのでしょう。

パート2 1:06~1:59 ポイントその⑧ エイミーとグレタ

グレタははじめエイミーの顔のあざに気づき、自分と同様にDV被害にあっていることに共感を示します。
グレタがニックのことを否定的にとらえていることにエイミーは満足します。

テレビを一緒に見たりゴルフをしたり打ち解けているように見えますが、エイミーは内心グレタを馬鹿にしています。
エレン・アボットの番組でニュースになっている自分の悪口を言われ、イラついたりもしています。

しかしグレタはジェフをそそのかし、エイミーの持っている現金を奪いにやってきました。
だてメガネ、染めたブラウンヘア、偽名、自作自演のあざなど、グレタには全部ばれていたのでした。

グレタはエイミーがニュースで話題になっている失踪事件の「エイミー」だとは気づいていません。
でも訳ありで逃亡中のため警察に通報することができない身だということを的確に予測しています。
エイミーは上品な世界では頭が回りますが、金銭が絡むとグレタのほうが賢かったようです。

 

パート3 1:59~2:06 時系列解説

前のシーンが7月13日ですので、かなり間が空きます。
エイミーが帰還するパートです。

出来事の詳細を表示

7月26日 TWENTY-ONE DAYS GONE 〈21日後〉
別荘でデジーと暮らすエイミーは、もとのブロンドヘアに戻っています。
楽しげな態度でデジーを喜ばせており、またデジーを上手く操る気力を取り戻したようです。
留置所にいたニックはこの日保釈され、裁判までの間は自宅で過ごせることになりました。

8月3日 TWENTY-NINE DAYS GONE 〈29日後〉
エイミーは性行為中にデジーの首をカッターで切り失血死させ、返り血を全身に浴びます。

8月4日 THIRTY DAYS GONE 〈30日後〉
騒音で目覚めたニックが外に出ると、血まみれのエイミーがデジーの車を運転して帰ってきています。
エイミーは泣きながらニックに駆け寄ります。
ニックはすべてをさとり、ニックに抱き着くエイミーを抱えながら「クソ女」と耳元につぶやきます。
エイミーがのけぞるようにわざとらしくニックの腕の中に倒れたところ、カメラが急上昇、俯瞰のカットになります。

パート3 1:59~2:06 エイミーの新たな計画

エイミーは別荘に来てからもずっといい案がないか考えています。
シャロン・シーバーの番組で「恋したころのニック」の姿を見たエイミーは、ニックのもとに帰ることに決めます。

まず防犯カメラに向けて自分が性的暴行を受けたように見える演技をし、証拠映像を残します。
・デジーにキスし唇に噛みついて出血させ、髪をまさぐってぼさぼさにし、シャツをズボンから引き出します。
 これでカメラに口元を怪我したデジーが、玄関先でシャツをズボンに入れ込む姿が記録されます。
・足首にリボンを括りつけ赤ワインでスカートの前側を染め、窓にへばりついてからカメラに映るように悶えます。

デジーを殺害する日にも、エイミーは手首の縛られた痕を、ひもを使い自力で作っています。
ワインボトルで下腹部を傷つけ、レイプ被害を偽装します。

デジーをベッドに誘惑し、枕の下に隠しておいたカッターで刺殺します。

パート4 2:06~ラスト

エイミーが帰還した8月4日の続きです。

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エイミーの処置のため、関係者は全員病院に来ています。
エイミーはFBIや医師の立会いのもとで供述を行います。
夫妻はヒーロー気取りで取材陣に囲まれながら病院をあとにします。
自宅に帰った途端、ニックはエイミーに演技をやめていいと指摘します。
エイミーはニックに惚れ直したことを伝えます。
エイミーは盗聴されるのを防ぐためシャワーを浴びながらニックに真実を話します。
ニックはエイミーがデジーを殺したことに気づいており、家を出ていきたいと考えています。
ニックは妊娠しているのは本当か聞き、エイミーは「そうなるかも」と答えます。

パート4 2:06~ラスト ポイントその① あなたは完璧/シャロン・シーバー

インタビューでニックが語ったのは以下の内容です。
「素晴らしい妻を持った、だめな夫です。結婚の誓いを破りました。」
「彼女に好かれたくて、理想の自分を演じました」
「でもだめでした、正しい努力をするより、楽なほうを選んだ」

そしてニックはエイミーがあげた時計とネクタイをつけていました。
エイミーは番組鑑賞時、ネクタイが自分があげたものと気づきます。

ニックはエイミーが番組を見ていることを確信しており、カメラに向かって呼びかけます。
そして「愛してる」の発言に合わせてあごに指を添えるのです。

インタビューでニックは、「理想の自分を演じた」と発言しています。
それはニックがエイミーのために演出した「理想の夫」が言う台詞でもあり、またニック自身も無自覚な本性でもあります。
ニックの発想はエイミーの発想とシンクロしています。
ニックはほかの人には分からないようなエイミーの思考回路を、知らず知らずのうちに体得しているのです。

番組を受けてのエイミーの感想が以下の通りです。
「あなた完璧だった。テレビのニックは私が恋したニックだった」
エイミーは、テレビに出ていた理想通りのニックを手に入れるために家に戻ることにしたのです。

ニックは、「あれは君が聞きたがってる言葉を言っただけ」と反論しますが、エイミーはそれこそ求めているものだと言います。
「それだけ分かってるってことよ。あなたはわたしを知り尽くしてる」

パート4 2:06~ラスト ポイントその② どうやって帰還した?

FBIも医師も、憔悴しているのに気丈にも捜査に協力するエイミーに味方します。
ボニー刑事は、エイミーが生きていたことで一気にエイミーに疑惑の目を向けます。
エイミーは、結婚記念日の朝にデジーに誘拐され、監禁されていたが殺して逃げてきたというストーリーを供述します。
ボニー刑事は以下の点の説明を求めます。

手紙のやり取り
デジーを怒らせないようにするために続けていたが、デジーはまだエイミーに好かれていると勘違いした、と説明します。

なぜデジーの凶器がエイミーの人形のパーツ?
エイミーはたまたま自分が持っていたとごまかします。

薪小屋にプレゼントの人形を置きに行ったなら、ニックが買っていた購入品の山には気づいたのか

エイミーは自分を疑うボニー刑事への対応が面倒になってきました。
「捜査能力のない警察のせいでニックは死刑になり、自分はデジーに監禁されたままになるところだった」
そう言って完璧な被害者目線から警察を責めることで完全にボニーの発言を封じます。

パート4 2:06~ラスト 物語の結末

事件後のニックとエイミーの展開が描かれますが、意外にもここがテーマ性の高いパートになります。

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パート4 2:06~ラスト 8月5日 ONE DAY HOME 〈1日目〉

ニックはあの結婚記念日の朝と同様にゴミを出しています。
すっかり有名人になったエイミーは、イベントでファンと交流しています。
「愛し合っている2人が離れるようなことになったら悲劇ですから」と公の場で発言し、ニックが自分から逃げられないようにしています。
「頬にキスして」と指示されたニックは、ささやかな抵抗として実際にキスはせず顔を近づけて振りだけをします。
タナ―はニューヨークに帰っていきます。
FBIの捜査も終了し、ボニー刑事もこれ以上の真相追究を諦めます。

パート4 2:06~ラスト 9月9日 FIVE WEEKS HOME 〈5週目〉

エイミーは「まだ私と寝る気になれない?」と聞き、ニックは「まだ時間かかるかも」と答えます。
エイミーはニックに「役柄」を演じて欲しいと頼みます。

パート4 2:06~ラスト 9月23日 SEVEN WEEKS HOME 〈7週目〉

エレン・アボットが自宅にインタビューをしに来る日です。
ニックはデジー殺害について告発の準備をしてはいるものの実行には至っていません。
エイミーはニックに、インタビューで、カード浪費、薪小屋に購入品を隠していた事、DVについて新たに認めるよう指導します。
インタビュー収録の前に、エイミーは陽性の判定結果の出た妊娠検査薬をニックに見せます。
唖然として離婚すると言うニックに、エイミーは生まれてくる子供の話を持ち出し「子供はニックを恨むことになる」と言います。
ニックはエイミーの頭を壁にぶつけ初めて暴力をふるいます。
エイミーはニックの説得を試み、ニックは考え込みます。
インタビュー収録の時間になり、階段を降りるエイミーが差し出した手を、ニックは悟ったようにとります。


ニックとマーゴは、エイミーの妊娠について動揺しながら話し合います。


画面は自宅で収録されたエレンのインタビュー映像に切り替わります。
「僕らは共犯者だ」とニックが言うと、エイミーは「それから?」と続きを促します。
「それから、親になります」とニックが続け、キャスターのエレンは幸せな夫婦を祝福します。


そしてラストシーン(後述)に切り替わります。

パート4 2:06~ラスト ポイントその③ どうやって妊娠した?

ニックは、最近エイミーに触れてもいないのに妊娠したなんておかしいと主張します。
ニックは、不妊治療の病院が、自分の精子を廃棄済みであると思っています。
なのでニックは、ほかの男の子供か、なんにせよ自分の子供のはずないと考えます。
エイミーは、疑うニックに対して、親子鑑定でも何でもいくらでもしてくれ、と言います。

となると、失踪から帰ってきたあと、エイミーが何らかの方法で病院から回収したニックの精子を使って妊娠を図った可能性が高いです。
妊娠に成功すると、最短で3週間ほどで陽性判定が出せるので可能といえば可能なのです。

パート4 2:06~ラスト ポイントその④ 三角関係再び

考えた挙句、ニックはエイミーの子供の父親はおそらく本当に自分であろうという結論に行きつきます。
ニックはインタビューで「妻が自分の子を身ごもった幸せな夫」を演じます。

子供が欲しいというのは、ニックがかつて望んでいたことでもあります。
緊張関係の中、一応事実としてはニックの望みは叶ったわけです。

マーゴは初め、「エイミーが本当に妊娠していたせいで、ニックが離婚できなくなったこと」を嘆き、取り乱しています。
そのあと、「ニックがエイミーから離れたくないと思っていること」に気づき、そのことをまた嘆きます。
ニックは「マーゴだけが良心(my voice of reason)」だと言います。

パート4 2:06~ラスト ポイントその⑤ 共犯者

「あなたが自分を好きでいられるのは私が求めるあなたを演じているときだけ」
「あなたのために殺した。ほかの女にできる?あなた平凡な女と結婚して幸せになれるの?絶対に無理」
〈互いを憎み互いを支配しようとするだけ、傷つけあうだけだろ〉
「それが結婚でしょ」

この台詞が「ゴーン・ガール」の中で最も話題にあがる台詞です。
確かに、今作のテーマの1つに、不幸な結婚の恐怖があります。
しかし、もう1つ大事な視点があり、それは、エイミーのニックに対する指摘が事実だということです。
エイミーはめちゃくちゃなことを言ってニックを追い詰めているわけではなく、「ニックは、理想を演じているときの自分が彼にとっての理想」なのです。
つまり本作のもう1つの結論はニックとエイミーの驚異的な類似性です。

殺したいほど愛してる

エイミーは確かにニックのことが好きなのです。
自分のものにならないなら殺してしまおう、と考えるエイミーのような女性が、考え直して一緒に生きていくことを選ぶのですから。
エイミーからニックへの執着心はとてつもなく大きいものです。

エイミーは結婚2周年の日の偽造日記に、「みんなに結婚は苦行だと言われた、でも私とニックだけは特別だからそうじゃないの」と書きます。
これを書いているときのエイミーは「結婚は苦行」ということをすでに思い知っているでしょう。
しかし結婚を決めたときには、「私たちだけは特別な例外」と信じていたからこんな文章が書けるのでしょう。

エイミーに対して同等に戦えるニックもやはり、エイミーのパートナーとしてふさわしい狂気を持ち合わせています。
つまりなんだかんだ言って半端なくお似合いの2人なんです。
サイコパスを撮ることに定評のあるフィンチャー監督。
監督はきっとエイミーとニックが持ち合わせた静かな狂気に惹かれたのですね。

ニック・ダンになれなかった男たち

デジー・コリングス

寄宿学校時代のエイミーの元カレで、エイミーに接近禁止命令を出されていました。
デジーは、「18世紀の交響曲や19世紀の印象派について語ったり、プルーストをフランス語で引用するような」人です。
デジーはようやく自分のもとに飛び込んできたエイミーがニックを引きずっていることが気に入りませんでした。
しかしその後のエイミーの楽しげな演技にすっかりだまされています。

エイミーは彼のことを「エイミーのベッドで自殺を図った」とニックに話しています。
最終的にデジーは、本当にベッドの上で死ぬことになります。

トミー・オハラ 

ニューヨークでエイミーと付き合っていた元カレで、強姦された、とでっち上げられています。
エイミーと彼は「あげたネクタイをつけなかった」ことで喧嘩になっています。
それを聞いていたこともあって、ニックはインタビューでエイミーがくれたネクタイをしっかりつけているのです。

トミーの強姦を偽証したときも、エイミーは手首を自分で縛って、縛られていたように見せかけました。
デジーの別荘でも同様に「縛られていた」証拠を偽造しています。

トミーはテレビでエイミーのニュースを見た際に、エイミーが今度は殺人事件の被害者になりきろうとしていることに気づいています。

 

『ゴーン・ガール』のラスト 結末の意味

ラストシーン・結末

 

冒頭と同じようにエイミーの頭をなでるニックのカットです。
エイミーは髪がショートカットになり、やや笑顔を浮かべています。同様のシーンがこんなに違って見えるとは。
冒頭とラストで、セリフはかなり違います。

冒頭

「妻のことを考える時、その頭を思い浮かべる。
僕は美しい頭蓋骨を開き、彼女の脳を取り出して、答えを探す。
夫婦にとって最も重要な質問だ。
何を考えてる?どう感じてる?僕らはどうしてしまった?」

ラスト

「何を考えてる?どう感じてる?僕らはどうしてしまった?どうなっていくんだ?」

ニックは純粋に困惑が増していっています。
しかしニックはただの被害者ではなく、立派な共犯者になったのです。

 

【映画の豆知識】

豆知識

映画の豆知識について

不協和音響くサウンドトラック

「ゴーン・ガール」のサウンドトラックを手掛けたのは米バンド Nine Inch Nails のトレント・レズナー。
彼とフィンチャー監督は、「ソーシャル・ネットワーク」、「ドラゴン・タトゥーの女」に引き続き、この作品でも連続で3度目のコラボを果たしています。

不自然なタイムラグ

オープニングで映る時計の時刻は、1度目は早朝7時ごろ、ニックはゴミ出しをしています。
そしてその次のニックがザ・バーに行くシーンでは、もう午前10時30分なのに気が付きましたか?
ニックは聴取の際に「朝家を出てから1人で川岸にいた」と証言します。
マーゴにも「川岸で夫婦関係について考え事をしていた」と言っています。
映画の設定は不明ですが、原作小説では、この朝の時間帯にニックは不倫相手であるアンディに会いに行っています。

偽装工作の"?"

エイミーは、頭を鈍器《人形のパーツ》で殴打され、大量に出血したことにしています。
しかし、1か月後に帰還したエイミーの頭部に、大量出血するような打撲の痕跡が残っていないことを医師も警察も誰も指摘しません。

 

当映画が好きな方へのおすすめ

「ソーシャル・ネットワーク」 デヴィッド・フィンチャー監督

「ブルーバレンタイン」 デレク・シアンフランス監督

「シンプル・フェイバー」ポール・フェイグ監督

 

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※配信情報は2020年4月時点のものです。現在の配信状況は各公式サイトをご確認ください。○=見放題視聴 △=課金視聴 ×=なし

 

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