歴史

映画『旅芸人の記録』のあらすじとネタバレ考察

この映画はこんな人におすすめ

ありふれた映画にはもう飽きた!

もっと芸術を追及した映画が観たい!

『旅芸人の記録』の作品情報(監督・キャスト・あらすじ)

映画のキャスト

日本の公開日1979年8月11日
監督テオ・アンゲロプロス
脚本テオ・アンゲロプロス
キャストエバ・コタマニドゥ、ペトロス・ザルカディス
音楽ルキアノス・キライドニス

あらすじ

ストーリー    

『占領は入らない 自由が欲しい』

1939年から1952年までの間にギリシャで起こった動乱の時代。

第二次世界大戦、ギリシャ内戦、独裁政権の誕生までの13年間。

その歴史を旅芸人の一座を通してそれらを映し出しています。

彼らの演じる舞台は全盛期の田園劇。

その舞台に、歴史や神話や政治が入り組んで時空を飛び越えます。

舞台はいつしか大きな旅となって観ているものに語り出すのです。

「この映画のここが面白い!」(ネタバレなし)

ユニークポイント

詩人が撮った映画

長いワンシーン・ワンショットで時と空間を飛ばし、歴史を行ったり戻ったりします。

観ているものはまるで舞台をみているようです。

いつしか映画を観ていることを忘れて、その時代に訪れたような錯覚を覚えるほどです。

映画ではタブーとされている、俳優がカメラ目線で独白をする場面もあります。

何分もの間、俳優は観ている私たちに語りかけるのです。

通常の映画ではありえない作り方をしています。

長いシーンの映像、長い台詞。それらが全て詩的で美しく作られているのです。

ギリシャは美しいイメージがあるかもしれません。

神話や哲学などの文化はとても魅力的です。

ですが、ギリシャは美しい文化だけではなく、とても複雑な歴史を持っています。

政治によって人が如何に人生を狂わされるか、深く傷つけるか、悲しませるか。

戦争シーンは派手に映し、衝撃的に演出するのが普通です。

この映画はそんなことはせずに衝撃的なことも悲しいことも、詩として、ただ淡々と描いています。

ネタバレ解説&考察

映画の解説

ギリシャ悲劇の叙事詩的名画

この映画を観て、意味が分からないという方も多かったのではないでしょうか。

この映画が複雑なのは、当時のギリシャがとても複雑な時代だったからです。

そして、旅芸人一座の設定も複雑です。

でも、監督は自分のスタイルに妥協しませんでした。

この映画の最大の特徴は、監督が観客に媚びていないということが上げられます。

この映画は決して、万人受けする映画ではありません。

映画の内容も、ワンシーンワンシーンも、台詞もとても難解です。

この映画は当時のギリシャの軍事政権下の元で製作された背景があります。

厳しい検閲という権力の中で、この映画を製作した覚悟と気迫が伝わってくるほどです。

それも並みならぬ覚悟や気迫です。映画全編、晴天の風景は一切出てきません。

監督はギリシャの美しい空を排除し、曇天や雨と霧に徹底的にこだわりました。

いつ映画製作が政府によって中止されるか、逮捕されるかわからない緊張状態の中です。

映画内の歴史が不安定なので、空も大地も街も不安定に映しているのです。

約4時間のドキュメンタリー的映画

歴史から解説すると、この映画の冒頭の、1939年に第二次世界大戦が始まります。

ギリシャは主に、ドイツ、イギリスに侵攻されたのちに占領されてしまいます。

1944年には「赤い日曜日」と呼ばれる事件をきっかけにギリシャ内戦が勃発します。

そして、1952年に独裁政権が生まれるまでの13年間の歴史をこの映画は映しているのです。

次に、旅芸人の主要な登場人物たちはアトレウス家の神話がモチーフになっています。

座長の父が、妻と間男によって殺され、息子が姉の助けによって二人に復讐するという話しです。

そして、旅芸人たちが巡演している舞台は「羊飼いの少女ゴルフォ」という作品です。

「羊飼いの少女ゴルフォ」とは「ロミオとジュリエット」のような悲劇の話しです。

その歴史と神話と舞台が混ざり合っているので難解になっているのです。

難解だが、とても美しい

ドイツとイギリスに占領されて自国でも争いあっています。

ですが、国民たちは自分達の国を取り戻そうと、必死になって生きています。

オリーブ油一本の為に、裸で歌を唄ったり、鶏を追いかけたり、悲劇的ですが、生き抜く強さを感じるのです。

終盤に、旅芸人一座の弟が死んで、地に埋められて土をかけられるシーンがあります。

一座の皆は、その様子を見届けながら拍手を浴びせます。

それはまるでこの時代をよく生きた!という褒め称えたものでもあるのです。

『旅芸人の記録』のラスト 結末の意味

ラストシーン・結末

その後、一座の中で一番下の子供が初舞台に上がります。

そうです。ギリシャの新しい時代が始まったことを現しています。

しかし、そこで映画は終わりません。

ラストにはオープニングと同じシーンが現れます。しかし、年号は違います。

1939年。

それは、また、同じ歴史を繰り返さないのかと問われているのです。

そこに監督の作家としての深い悲しみや怒りを感じられずにはいられません。

そこまで力強い作品だからこそ、世界で沢山の賞を受賞しているのです。

【映画の豆知識】

豆知識

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「ミツバチのささやき」 ビクトル・エリセ監督

「天国の日々」 テレンス・マリック監督

「サクリファイス」 アンドレイ・タルコフスキー監督

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